経済だけじゃない。生活水準から読み解く東南アジア発展途上国ランキング

東南アジア 発展度ランキング(HDI基準)

指標:UNDP「HDI(2022年の数値、HDR 2023/24)」
補助情報:世界銀行の所得分類(FY26=2025年7月公表の分類表)

順位HDI(2022)世界銀行 所得分類(FY26)
参考シンガポール0.949高所得
参考ブルネイ0.823高所得
1マレーシア0.807上位中所得
2タイ0.803上位中所得
3インドネシア0.713上位中所得
4フィリピン0.710下位中所得
5ベトナム0.726下位中所得
6ラオス0.620下位中所得
7ミャンマー0.608下位中所得
8カンボジア0.600下位中所得
9東ティモール0.566下位中所得

※HDIの「順位」は世界全体の順位でもあります(例:東ティモールは世界155位など)。

ランキングの読み方(“発展途上国”の現実)

1) 「所得」と「生活水準」は一致しない

世界銀行の所得分類はGNI(国民総所得)/人で区分しますが、HDIは教育年数・平均寿命・所得を合わせて見るため、

  • 所得が伸びても教育・医療が追いつかない
  • 都市部だけ豊かで格差が大きい
    といった国では、発展の“体感”が割れやすいです。世界銀行の区分基準自体はFY26で明確に定義されています。

2) 東南アジアは「上位中所得」と「下位中所得」に二分されがち

FY26の分類表を見ると、インドネシア・タイ・マレーシアは上位中所得、一方でベトナム・フィリピン・カンボジア・ラオス・ミャンマー・東ティモールは下位中所得という並びが見えます。

国別ざっくり解説

A. 先行組(マレーシア/タイ)

  • 製造業・観光・サービスなどが厚く、都市インフラも比較的整備
  • HDIも0.8前後で、東南アジアの中では“成熟寄り”

B. 中核組(インドネシア/フィリピン/ベトナム)

  • 人口規模が大きく、国内の地域格差が出やすい
  • ベトナムはHDIの位置が比較的高め(0.726)で、教育・保健の積み上げが効いている一方、所得分類は下位中所得に留まる──のように、指標によって見え方が変わるのが特徴です。

C. キャッチアップ組(ラオス/カンボジア/ミャンマー/東ティモール)

  • インフラ・医療・教育の整備余地が大きく、政策・投資・国際環境の影響を受けやすい
  • HDIは0.5〜0.6台に集中し、底上げ局面にある国が多いです。

まとめ

  • 生活水準の総合比較:HDI(UNDP)を主軸にするのが分かりやすい
  • ビジネスの購買力・市場感:世界銀行の所得分類(FY26)を併用するとブレにくい
  • 東南アジアは一枚岩ではなく、“上位中所得の準先進ゾーン”と“下位中所得の成長ゾーン”が同居している地域、と捉えると整理が楽です。

1) GDP/人(PPP)ランキング(経済豊かさ)

東南アジア各国をGDP/人(購買力平価=PPP)で見ると、経済的豊かさの指標として差が大きいです。
※IMF・国際統計ベースのPPP GDP per capitaを参照。

順位国名PPPベース GDP/人(USD)
1シンガポール(参考)約156,000
2ブルネイ(参考)約43,000
3マレーシア約43,000(名目 ~13,000)
4タイ約26,000
5インドネシア約17,600
6ベトナム約17,500
7フィリピン約17,480
8ラオス約8,650
9カンボジア約10,120
10東ティモール約9,727

👉 豊かさは大きく差があり、シンガポール・ブルネイは先進水準、その他は中進国〜発展段階の国々です。


2) 都市化率ランキング(都市化の進行)

東南アジア地域は都市化が急速に進行しています。国別具体値は統計機関ごとに差異があり公式一覧はありませんが、概ね次のような順位になります(推定)

順位国名都市化率(都市人口割合/概算)
1シンガポール約100%(都市国家)
2マレーシア約80%前後(推定)
3タイ約50〜55%(バンコク集中)
4フィリピン約50%前後(都市集中・メトロ圏多数)
5ベトナム約45〜50%(急増)
6インドネシア約45〜50%(ジャカルタ圏中心)
7カンボジア約40%前後(成長中)
8ラオス約40%未満(内陸域の特性)
9ミャンマー約30〜40%(都市化遅延)
10東ティモール約30%未満(小規模)

👉 都市化はインフラ・経済活動の密度を示す指標であり、都市化が進む国ほど産業・サービスの集積が進みます。

3) 若年人口比(人口ダイナミクス)

若年人口比率(15–24歳が占める割合)は、将来の労働力・消費のポテンシャルとして重視されます。
※統計は国連等主要推計値で変動しますが、比較傾向は一致します。

順位国名備考
1フィリピン若年比率が相対的に高く人口増加も継続傾向¹
2インドネシア若年人口が厚く中期成長余地あり
3ベトナム若年層多いが減少傾向へ
4ラオス少子高齢化未成熟で若年率高め
5カンボジア若年層が多いが総人口小
6東ティモール非常に若い人口構造(出生率高)
7ミャンマー若年層多いが経済停滞で活用課題
8タイ少子化進行で若年比率低下
9マレーシア中位〜低め(人口中間層多)
10シンガポール非常に低い(先進化・低出生率)

👉 若年人口比率が高い国ほど、今後の成長ポテンシャルや消費市場拡大余地が大きいと一般に考えられています。

4) インフラ(電力・通信)ランキング

インフラの整備度は、生活・ビジネス環境に直結します。

電力アクセス率(2023年)

東南アジアの電化率は国ごとの差が顕著です。
※世界銀行/電力アクセス率統計より抜粋。

順位国名電力アクセス率
1ブルネイ100%
👍マレーシア100%
👍シンガポール100%
👍タイ100%
5ベトナム約99.8%
6インドネシア約99.4%
7フィリピン約98%
8ラオス約96.5%
9カンボジア約95%
10ミャンマー約76.8%(最も低い)

📶 通信インフラ(デジタルアクセス)総合指標(デジタル統合指数など)

  • シンガポール・タイ・マレーシアは地域内トップレベルの通信インフラが整備。
  • ラオスはデジタルアクセスで地域内最下位の傾向あり。

5) 政治リスク(統治・安定性)ランキング

政治リスクは国際機関のガバナンス/安定性指標や格付けをもとに評価します(例:Worldwide Governance Indicators、EIU Democracy Indexなど)。具体数値は公開データベース参照が必要ですが、傾向としては以下の通りです:

順位国名政治リスク(低→高)
1シンガポール低リスク(統治・安定が高い)
2マレーシア相対的に低〜中リスク
3タイ中程度(過去クーデター等あり)
4ベトナム安定だが一党制の透明性課題
5インドネシア民主主義成熟途上
6フィリピン政治変動あり
7カンボジア中〜高(統治課題多)
8ラオス高(情報透明性・ガバナンス課題)
9ミャンマー非常に高(軍事統制・紛争)
10東ティモール高(小規模経済・不安定要素大)

👉 政治リスクはデータベースのスコアや専門調査レポートによって異なりますが、政情の安定度と統治の透明性が経済・社会の持続成長に影響します。

💡 総合評価(発展度の傾向)

指標先進/高整備傾向中成長 傾向発展途上 傾向
GDP/人(PPP)シンガポール、ブルネイ、マレーシアタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンラオス、カンボジア、東ティモール
都市化率シンガポール、マレーシアタイ、フィリピンラオス、ミャンマー
若年人口フィリピン、インドネシア、東ティモール
インフラ(電力/通信)シンガポール、マレーシア、タイベトナム、インドネシア、フィリピンラオス、カンボジア、ミャンマー
政治リスク低い:シンガポール、マレーシア中:タイ、インドネシア、ベトナム高い:ミャンマー、ラオス、東ティモール

経済