高度成長から低成長へ…日本経済の60年を数字で追う

日本の経済成長率の推移 ― 1960年代から現在までの長期比較とその背景

① 1960年代|高度経済成長の黄金期

成長率:年平均 約10%前後

1960年代は日本史上最も高い経済成長期です。

主な要因

  • 池田勇人内閣の「所得倍増計画」
  • 重化学工業化(鉄鋼・自動車・造船・電機)
  • 輸出拡大
  • 技術導入と設備投資ブーム
  • 若く豊富な労働人口

国民所得は10年で約3倍に拡大し、「もはや戦後ではない」と言われる社会構造転換が進行しました。

② 1970年代|成長鈍化とオイルショック

成長率:年平均 約4~5%

1973年・1979年の二度のオイルショックが日本経済に大きな衝撃を与えます。

特徴

  • 高度成長から安定成長へ転換
  • 省エネ・省資源技術の進展
  • 物価高騰とスタグフレーション

それでも世界的に見れば高成長を維持し、産業構造はより高付加価値型へ移行しました。

③ 1980年代|安定成長からバブルへ

成長率:年平均 約4%前後

80年代前半は安定成長、後半は資産バブルの膨張期となります。

要因

  • プラザ合意による円高対策
  • 金融緩和による資金過剰
  • 株式・不動産価格の急騰

表面上の成長率は安定していましたが、実体経済と資産市場の乖離が拡大しました。

④ 1990年代|失われた10年

成長率:年平均 約1%前後

1991年のバブル崩壊を契機に日本経済は長期停滞期へ突入します。

問題点

  • 不良債権処理の遅れ
  • 金融システム不安
  • デフレ経済の定着
  • 企業の投資意欲低下

かつての高成長国家は、構造的低成長国家へと転換しました。

⑤ 2000年代|緩慢な回復とリーマンショック

成長率:年平均 約1%未満

小泉改革期に一時回復するも、2008年のリーマンショックで大きく後退。

特徴

  • IT化・サービス経済化
  • グローバル競争の激化
  • 非正規雇用拡大
  • 企業の内部留保重視

⑥ 2010年代|アベノミクスと低成長の固定化

成長率:年平均 約0.8%

アベノミクスにより金融緩和・財政出動・成長戦略が実施されましたが、成長率自体は限定的。

課題

  • 少子高齢化の進行
  • 労働人口の減少
  • 生産性の伸び悩み

⑦ 2020年代|コロナ禍と新たな構造転換

成長率:

  • 2020年:▲4.3%
  • 2021~:回復基調だが 1~2%程度

新要素

  • デジタル化・GX投資
  • 物価上昇と賃金再評価
  • 円安と輸出競争力回復

時代別成長率まとめ表

時代年平均成長率
1960年代約10%
1970年代約4~5%
1980年代約4%
1990年代約1%
2000年代約0.8%
2010年代約0.8%
2020年代約1~2%

なぜ日本は成長できなくなったのか

主因

  1. 人口減少・高齢化
  2. 技術革新の遅れ
  3. 国内市場の成熟
  4. 規制・制度の硬直
  5. 生産性の低迷

高度成長は「人口増×設備投資×輸出」の三位一体で成立していましたが、その前提条件がすべて崩れたことが低成長の根本要因です。

これからの日本経済の成長モデル

日本は「量の成長」から「質の成長」へ転換する局面にあります。

  • デジタル
  • グリーン
  • 医療・ヘルスケア
  • 観光・コンテンツ産業
  • 宇宙・半導体

これらの分野が次世代の成長エンジンとなり、安定した1~2%成長の持続が現実的な目標となっています。

経済